『作業台の高さは変えられなくても、“動き”は変えられる|理学療法士が伝える現場型・健康経営の第一歩』

最近、製造業の現場を見学させていただく機会があります。
「健康経営」と言葉ではよく聞くようになりましたが、
実際の現場に入ると、そんなに簡単な話ではありません。

作業台の高さを変える、機械の位置を動かす。
それって実際、ほぼ不可能なんです。
現場の人なら誰でもわかると思います。

でも――
“環境を変えなくても、動きは変えられる”んです。

■「正しい動き」よりも、「楽な動き」

理学療法士というと、「正しい姿勢」「正しい動き」を教えるイメージがあるかもしれません。
でも私が現場で大切にしているのは、正しいよりも“楽にできる”動きです。

その人の体格・筋力・慣れた動作パターン。
みんな違って当然です。
だから、“正解”は一つじゃありません。

■10分でわかる、作業のクセ

現場で働く方を一人ずつ10分ほど見せていただくと、
体のどこに負担が偏っているのかが見えてきます。

例えば――
・右肩ばかり上がっている
・腰の片側だけ張っている
・いつも同じ足を前に出している

こうした“クセ”が積み重なることで、
肩こり・腰痛・腱鞘炎といったトラブルにつながります。

でもそれを、「ここをちょっとこう動かしてみましょう」と伝えるだけで、
「えっ、ラクですね!」という反応をもらえることが多いんです。

■環境を変えずに、生産性を上げる

作業環境を変えるのはコストがかかる。
でも“動き方”を変えるのは、ほぼタダです。

現場を支えているのは、働く人の身体。
その使い方ひとつで、疲れ方も、作業の精度も、全然違ってきます。

■現場から始まる健康経営

健康経営というと、オフィスでの健康診断や食生活の見直しなどがイメージされがちですが、
本当に必要なのは、**現場で続けられる“体の使い方”**です。

私は、作業台の高さを変えることはできませんが、
その中でどう動けば楽か、どうすれば疲れにくいかを一緒に見つけることができます。

“正しい”を押しつけるのではなく、
“楽な”を引き出すサポート。

それが、現場でできる健康経営の第一歩だと思っています。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
現場で働く方の体が、少しでもラクになるように。
そんな取り組みを、これからも続けていきます。

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